先日ご紹介した骨伝導イヤホンですが、実際想定されるシチュエーションで効果があるのか、それぞれのモデルがどういう使い方に適しているのか、もっと詳しく知りたいというお問い合わせがありましたので、骨伝導ヘッドホンが活躍するシチュエーションや過酷な条件で性能の限界を試すテスト結果などをご紹介したいと思います。
先日ご紹介した骨伝導イヤホンですが、実際想定されるシチュエーションで効果があるのか、それぞれのモデルがどういう使い方に適しているのか、もっと詳しく知りたいというお問い合わせがありましたので、骨伝導ヘッドホンが活躍するシチュエーションや過酷な条件で性能の限界を試すテスト結果などをご紹介したいと思います。
骨伝導ヘッドホンは、鼓膜ではなく頭骨を介して音を伝えるので、人ごみでガヤガヤしているような状況で使用したり、誰かに話しかけられる可能性があるなど外音を遮断したくない場合に使用するのに適しています。
鼓膜とは別の方式で音を感じているので、耳から入ってくる雑踏のノイズと骨伝導ヘッドホンからの音を区別しやすい特性が、屋外などノイズが多い環境でも聞き取りやすいと評価されていますが、会話ができないほどの騒音下では骨伝導式といえども聞き取りは困難になります。
今回行ったテストでは、実際に地下鉄の構内で、電車がホームに入構する、発車してゆく際の騒音下で骨伝導ヘッドホンとペアリングしたスマートフォンで通話を行い、通話が成立するかどうかを確認しました。
最も性能が良かったのは、AftershokzのOpenCommでした。電車が入ってくる、出発する際の騒音下では隣にいる人との会話も困難なほどの騒音でしたが、OpenCommを介して通話テストをした相手には、こちらの声が明瞭に聞こえており、構内アナウンスなども内容までは聞き取れないなど、話者の声以外の騒音をシャットアウトできていました。
イベント会場や場内アナウンスが流れるような場所から通話をした際も、相手にはこちらの声が明瞭に聞こえていたということですので、マイク(通話)のノイズ耐性はかなり高いと言えます。
一方、相手の声はある程度の騒音には骨伝導の機能で聞き取れるものの、最も大きな騒音下では、耳からの騒音に負けて骨伝導からの音声があることは認識できるものの内容までは判別できないという状況でした。こちらは程度の差はありますが全ての骨伝導ヘッドホンに共通の現象となります。
同じくAftershokzのOpenMoveは、ブームマイク(口元に伸びる通話用のマイク)を備えないモデルですが、ノイズキャンセルの処理能力など基本性能はOpenCommと同レベルで十分な性能を発揮しました。OpenCommが、駅にいると言われなければ気づかなかったレベルとすると、OpenMoveは、駅にいるとわかるがこちらの声は明瞭に聞こえたということで、オンラインミーティングメインでなければコスパ最強と言えそうです。
cheero のTouchBone Earphonesは、日常の騒音下では普通に使えるレベルでしたが、大きな騒音下での通話性能にはそこまで期待していませんでした。実際、Aftershokzの2モデルと比較すると明確にわかるくらいの差が出ましたが、オンラインミーティングは成立するレベルは維持していたのが新たな発見でした。
相手にどのような場所で通話しているかが判別できる状態だったということで、通話用のマイクが外音を完全に遮断せず、ある程度のノイズは拾ってしまっているようです。
OpenMoveとの価格差があまりないので、通話機能を重視するならOpenMoveを選んだほうが満足感を得られそうです。
完全ワイヤレス方式で、装着方式もユニーク、軽快なモデルでしたが、大きな騒音下での通話には向かないモデルでした。マイク性能としては標準的なヘッドセット、イヤホンマイクと同等程度で、イヤホン部が骨伝導方式になっているという製品なのだと思います。
骨伝導方式のヘッドセットとして劣っているということではなく、骨伝導方式の特徴である外音を常に聞き取れる状態は得られますし、地下鉄の構内などかなりの騒音下でなければ通話も行えます。
今回紹介したモデルの中では最も音楽再生の品質が良かったので、屋外でも積極的にオンラインミーティングを行うというよりは、状況把握のために周囲の環境音を取り入れながら音楽なども楽しみたいなどの用途がメインな人に適しているモデルと言えます。
骨伝導方式のイヤホン、ヘッドホンは、使用の際に耳を塞がないで良いのが大きな特徴です。リモートワークで注目される以前は、音楽を聴いたり通話をしながらでも周囲の音も聞こえるので、ウォーキングなどのアクティビティの際にも比較的安全というのがセールスポイントでした。
自宅などのリモートワークでは、ヘッドセットだと家族の呼びかけに気づかないなど、集中しすぎることでのデメリットもありましたが、耳を塞がない骨伝導方式ならばそのような心配もありません。始業とともにヘッドセットをかけて、電話の着信やオンラインミーティングなどの際にはそのまま会議に移行して、終わったら日常に戻るという新しいワークスタイルも定着するかもしれません。
ライタープロフィール
戸津 弘貴 :iPod Styleという音楽プレイヤーやヘッドホンなどを紹介する情報サイトを立ち上げてライターデビュー。現在は、スマートフォンやカメラなどのガジェットやアウトドア、防災関連のライターとして活動中。