オーディオテクニカから完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル「ATH-TWX9」が発表されました。オーディオテクニカは、ヘッドホンやマイクなどを製造販売する老舗のオーディオメーカーで、一般向けのイヤホンやヘッドホンの他、業務用カラオケ設備や会議用のマイクシステムなど業務用の機器やレコードのカートリッジなども製造している一大メーカーです。
長年の経験と蓄積された技術力で、安くて良い製品が多いという評判もあります。
「ATH-TWX9」の発売は9月3日と発表されましたが、一足先に実機を試す機会が得られましたので、試聴レビューをお届けします。
オーディオテクニカから完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル「ATH-TWX9」が発表されました。オーディオテクニカは、ヘッドホンやマイクなどを製造販売する老舗のオーディオメーカーで、一般向けのイヤホンやヘッドホンの他、業務用カラオケ設備や会議用のマイクシステムなど業務用の機器やレコードのカートリッジなども製造している一大メーカーです。
長年の経験と蓄積された技術力で、安くて良い製品が多いという評判もあります。
「ATH-TWX9」の発売は9月3日と発表されましたが、一足先に実機を試す機会が得られましたので、試聴レビューをお届けします。
もくじ
ATH-TWX9は、5.8mm口径のダイナミック型ドライバーで、コーデックはSBC、AACのほか、aptXやaptX Adaptive(最大96kHz/24bit)をサポートしています。iPhoneではAAC、AndroidではAACやaptX、対応機種ではaptX Adaptiveを使用することで高品質なサウンドを楽しめます。
ドライバーユニットは、大きくなるほど小さい力で振動するので音質を高めやすくなりますが、ボディの大きさを決めると言っても過言ではない部分で、大きさ(コンパクトさ)と音質のせめぎ合う部品となります。専用に新規設計されたドライバーユニットは、コンパクトにしつつ最大限の音質を実現するという難題を解決することにつながりました。
シャープな直線とゆったりした曲線で構成されたボディは、一見して高性能だと感じるデザインでフラッグシップ機であるということがわかります。さらに、耳に装着した時のフィット感は、ぱっと見の印象と違い装着感も高く、落脱しにくく遮音性(音漏れしにくい)にも優れています。
さらに、4つのサイズ(耳穴の幅)に3つの異なる導管長(奥行き)、計12種類のイヤピースが用意されており、多くの人にとって最適なつけ心地を実現します。今までも、豊富なサイズを用意する製品はありましたが、それでもイヤホンが耳から浮いた感じになってしまう製品もありました。ATH-TWX9では、奥行きまで調整できることでよりフィット感を高めることができるのが斬新に感じました。
肝心の音質は、価格相応で満足いくレベルと言えます。さすが大口径ダイナミック型ドライバーの効果が出ているなと思うのは、低音域の再現性ですぐにわかります。中高域が気持ちの良い楽曲においても低域がより締まった感じというか、しっかり支えてくれていることで曲全体がグッと良く聞こえるように感じました。
映画などの視聴においても、銃撃シーンや爆発シーンなどでより迫力を感じます。
ありきたりな表現ですと、音の解像度が高いとか、情報量が多く広がりがあるなどという言い方になってしまいますが、楽器の音を聞き分けるなどの細部を分解して特定するというよりは演奏を一つのパッケージ(作品)として味わうために総合的に仕上げているという感じで、タブレット内蔵のスピーカーから聞いたり、プレイヤー標準のイヤホンで聴く場合に比べて、楽しく味わえると感じました。
ATH-TWX9では、5段階の外音取り込み調整と、5つのノイズキャンセリングモード、さらに環境に最適化したノイズキャンセリング調整と個人に最適化したノイズキャンセリングモードを備えます。それぞれのモードはアプリで設定したり切り替えますが、タッチセンサーを2回タップすることでノイズキャンセリングモードとヒアスルー(外音取り込み)モード、機能オフ(ノイズキャンセリングもヒアスルーもOFF)をローテーションします。
3回タップするとヒアスルーモードになる(クイックヒアスルー機能)ので、お店での会計時や話しかけられた時にすぐに対応することができます。
ノイズキャンセリングやトークスルーのセッティングはアプリで切り替えることになりますので、自分の使い方では出勤中なら電車モードで、休日で家にいる際は自宅モードなど、過ごす時間が多い場所や最もノイズキャンセリングを効かせたいシチュエーションに合わせてセッティングしておき、モードのON・OFFをタップで切り替えるというのが面倒なく使えました。
若干気になった点としては、2回タップでノイズキャンセリングやヒアスルーを切り替えたり、3回タップでクイックヒアスルーにする場合、タップの反応とタップしてから切り替え動作に映るタイムラグが少しあるなというところでした。慣れると気にならない部分かもしれませんし、ファームウェアのアップデートで改善される部分かと思いますが、切り替え操作を頻繁に行うということでなければそれほど意識しなくても大丈夫かもしれません。
ATH-TWX9のもう一つの特徴は充電ケースの機能にあります。ワイヤレス充電は比較的採用するモデルも増えてきていますが、おくだけ充電はあると便利な機能です。さらに、深紫外線による除菌システムは気分的なもの以上に実用的といえます。夏の暑い時期もそうですし、ジョギングやフィットネスなど運動で汗ばんだりすると雑菌が繁殖しやすいので、除菌機能によって清潔が保たれるのはありがたいです。
オーディオテクニカのイヤホン、ヘッドホンは、昔から品質には定評がありましたが、ATH-TWX9では、音質面だけでいえば価格相応に良質なサウンドが味わえます。ノイズキャンセリング機能やワイヤレス充電、紫外線除菌システムなどそれ以外の機能を加味した場合、コスパ感が高くなると思いました。
一方Air Podsや過去にレビューしたSONYのWF-1000XM4と比較すると、日常のシーンでシームレスな使い勝手という面では一歩及ばない部分があります。この部分は、デバイスが勝手に判断して切り替えることがかえって煩わしいという人にとってはデメリットでなくなりますので、「今は純粋に音楽を楽しみたい」「このシーンではノイズキャンセリングを効かせたい」など、使用シーンが明確な人にとっては音の好みやフィット感といったイヤホン本来の部分で評価できると思います。
限られたコストの中でどこにコスト配分して製品として仕上げるかというのは各メーカーの悩みどころかと思いますしそこに特徴が出ると思います。そういう意味では、今回試聴したATH-TWX9では、ドライバー周りをはじめ、音作りにかなりリソースをつぎ込んでいるのではないかという印象を受けました。
スピーカーをはじめ、イヤホン、ヘッドホンなどは好みもあるのでどのモデルを選ぶのが正解!というのはない世界ですが、ATH-TWX9は音質を追求したモデルで、音作りとしては自分好みの仕上がりでしたので、個人的には大満足のモデルでした。
ライタープロフィール
戸津 弘貴 :iPod Styleという音楽プレイヤーやヘッドホンなどを紹介する情報サイトを立ち上げてライターデビュー。現在は、スマートフォンやカメラなどのガジェットやアウトドア、防災関連のライターとして活動中。